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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第18章 「血と花の話をしましょう**」


***


バスルームの換気扇が、低く唸っていた。
湯気の残る空気に包まれて、ドライヤーの音がやけに大きく聞こえる。

 

「動かないで。後ろ、まだ濡れてるから」

 

椅子に座ったまま、私は素直に言うとおりにしていた。
先生の指が髪をすくうたび、まだ火照った肌がじんわり熱を取り戻していく。


汗に、涙に……それ以外のもので、ふたりしてぐちゃぐちゃになって。
先生の宣言通り、立てなくなってしまった私にシャワーを浴びさせてくれて――
今はこうして、髪まで乾かしてもらってる。
鏡に映る自分を見ていると、自分のしてしまったことがだんだん蘇ってきた。

 
(……変な子って、思ったかな)

(言った方がいい? やめた方がいい?)

 




「……あの……」



小さく漏れた声は、ドライヤーの音にかき消されそうだった。
でも、先生はすぐに気づいたみたいで。



「ん?」



返ってきた声は、変わらずやさしい。
ドライヤーから流れる温風と一緒に、同じシャンプーの匂いがした。

 

「……なんで、私が……その……してたの、わかったんですか?」
 


視線は合わせられなくて、膝の上で手をぎゅっと組む。
すると、私の頭のてっぺんから、笑い声が落ちてきた。

 

「え、……あれバレてないと思ってたの?」

「っ……そ、そんなに……!」

「ドア開けた時の顔。あれでもう確信したよ」

「……っ、うそ……」

「目うるうるしてたし、顔火照ってるし」

 



――最悪だ。

 
(うそ、そんなの……自分じゃ全然、わかんなかった……!)


「忘れて!見なかったことにして!」って叫びたい。

 
(ほんと……恥ずかしすぎる……)
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