第18章 「血と花の話をしましょう**」
先生の唇が降りてきた。
震えが残る口元に、柔らかく、でも深く。
舌が触れて、息が混ざって、
また体温が上がる。
涙とも、汗ともわからないものが頬を伝っていく。
息が落ち着き始めたころ――
先生がゆっくりと自分のものを引き抜いた。
「っ……ぅ、あ……」
さっきまで埋まっていた場所が、からっぽになる感覚。
脚の力が抜けていくが、体はまだ痺れたみたいに震えてる。
(……頭、ぼーっとする……)
(なんか、熱くて……うまく動けない……)
しばらくして、布ずれの音が耳に届いた。
肌に触れていた先生の体温が離れていく。
……その代わりに、何かが視界に落ちてきた。
「いっぱい出ちゃった」
先生の声とともに、目の前に落とされたもの。
反射的に目を逸らしたのに、
視界の端に映った、色と形だけですぐにわかってしまった。
薄いフィルム。
その中に溜まっていたのは、白く濁った液体。
(あれは……)
見たことなんて、もちろんなかった。
保健の授業で説明されたことはあるけど、実物を目にしたのは初めてで。
恥ずかしさと、妙な興味と、よくわからない気持ちがぐるぐる渦を巻いていた。
「記念にとっとく?」
「へっ、い、……いらないです!」
ケラケラと笑って、先生はくしゃっとそれを丸めて処理しはじめた。
その姿を横目で見ながら、私はシーツをぎゅっと握る。
(あれが、もし……私の中に入ったら……)
(先生との赤ちゃん、できるんだよね……?)
ぼんやりと、そんな未来を思い描いてしまった瞬間――
耳まで熱くなるのが、自分でもわかった。
(な、なに考えてんの……わたし……っ!)
想像なんかするつもりなかったのに。
気づけば、勝手に頭の中で“先生との未来”が浮かんできてしまっていて。