第18章 「血と花の話をしましょう**」
(……あのとき、先生……こうやって、指の腹でゆっくり……)
(触れるか触れないか、ぎりぎりのところを……ずっと、なぞってきて……)
ほんの軽く突起に掠めただけなのに、
電気みたいな快感が、下腹から一気に駆け上がってくる。
「っ……あ、ふ……っ……」
指が濡れたそこを掬いながら動くたび、腰がかすかに揺れていく。
(せんせ……せんせい……)
心の中で何度も呼んでも、返事はない。
部屋には、私の息づかいと布の擦れる音しかない。
「ん、……っ、く、ふ……っ」
徐々に奥からせり上がってくる波に身体がこわばる。
(あっ……だめ……奥が、ぎゅって……っ)
(きちゃう……っ)
身体がもう、あの気持ちよさを思い出していた。
自分じゃない誰かに動かされてるみたいに、指が勝手に速くなる。
(や……っ、こんな……自分でなんて……)
あとちょっとなのに届かなくて、
そこが余計に疼いて、また指が動く。
(あ……っ、もう……っ、だめ……これ……)
そのとき、記憶の中の先生の声が耳元にふっと落ちてきた。
『……ほら、イけっ、』
(……っ! せんせ……!)
その一言が引き金になって、張りつめていた熱が一気にほどける。
「あ……っ、――っ……!」
全身がびくっ、びくって震えて、息が浅くなる。
足先までびりびりして、力が抜けたみたいに動けなかった。
しばらく、そのままぼんやりと天井を見つめていた。
心臓の音だけが耳の奥で響いている。
ゆっくり上半身を起こして、捲れたTシャツを整えた。
濡れてしまった指をティッシュで拭いながら、じわじわと顔が熱くなる。
(っ……一人で、こんな……!)
自分でも、信じられなかった。
そんなつもりじゃなかったのに。
でも……気づいたら、止まらなくて。
「もう! なに、してんのほんと……!」
顔を両手で覆って、ベッドに突っ伏す。
(……いくら寂しいからって……っ)
こんなの……まるで、欲求不満みたいじゃん。
やだ……明日、先生と顔合わせられないよ……
火照った身体は、まだどこかもじもじしてる。
ぎゅっと枕に顔をうずめた、そのとき――