• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第17章 「花は蒼に濡れる**」


***


シャワーのレバーを閉め、水気をとるために髪をきゅっとしぼる。


(……ふぅ。ちょっと落ち着いた……かも)


ワゴンの引き出しから、ふわふわのタオルを取り出して、肩から順に丁寧に身体を拭いていく。


けれど――


(……ん、そういえば)


タオルで足元をぬぐったとき、視線の先に目に入った。
ワゴンの上に置かれた、脱いだ下着と制服。


(これって……また着るの?)


脱ぐ前はただ必死だったけど、今になって途端に現実が押し寄せてくる。


体はきれいに洗ったばかり。
汗も匂いもさっぱり落としたのに――

 
(でも……着なかったら……)

(タオル巻いて、先生のところに戻ることになる……)


どうせ脱がされるんだから、着る意味なんてないのかもしれない。
でも、着ないままでいるのも……
なんだか、“やる気満々”みたいでもっと恥ずかしい。


(……どっちが正解なの……?)


下着を持つ手が震える。


(だったら、いっそ……裸で……いや、バカ)

 
頭の中で、着る理由と着ない理由をぐるぐる考える。
でも、どれもしっくりこなかった。


(……わかんないよ。どんな格好で戻るのがいいの?)


ゆっくりと鏡の前に立った。
そこに映る自分は頬を赤く染めながらも、まっすぐこちらを見ていた。


小さく息を吸い、下着を持った手に力をこめる。


(……うん、さすがに服は着よう)


シャツのボタンを一つずつ留めていくたびに、胸の奥がそわそわする。


襟元をそっと整え、目を閉じた。
まぶたの裏で先生の顔が浮かぶ。


( 心臓の音……うるさい。大丈夫、落ち着いて)


そう思いながら、ドアに手をかける。
震える指先をぎゅっと握りしめて――。
ゆっくりと先生が待つ部屋へと歩き出した。
/ 442ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp