第17章 「花は蒼に濡れる**」
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バスルームのドアが閉まる音がした。
「……はぁー……」
ソファにもたれかかりながら、髪をくしゃっとかきあげる。
天井を仰いで、大きく息をついた。
「マジで……可愛すぎでしょ」
我慢して、抑えて、笑ってたけど――
今にも破裂しそうだった。
(……ズボンの上からでも、わかる。……もう、勃ってる)
の中に入りたくてたまらない。
その欲望を抑えるように、隣に転がってたクッションをぽふっと叩く。
が「したい」って言った瞬間の、あの表情。
緊張と決意がまじった顔――
あれを見せられて、落ち着いていられるわけがない。
素直に、愛しくてたまらなかった。
(正直、欲望のままに無茶苦茶にしたい)
髪を掴んで引き寄せて、
口塞いで、喉の奥までキスして、
息もできないくらいに舌をねじ込んで――
嫌がるどころか、もっと甘く泣くんだろうな。知ってる。
瞳の奥がとろんと溶けて僕の名前以外、何も言えなくなるくらい。
息も、声も、奪ってしまいたい。
(指入れて、中を掻き回したい)
(舌で舐めて、しゃぶりたい)
どこが弱いのか、どこに触れたらぐずって泣くのか。
全部、知りたい。
僕のを突っ込んだあとのが、どんな顔をするのか――
見たくてたまらない。
(涙と鼻水とよだれで、ぐしょぐしょになった顔みたい)
気持ちよすぎて、声にならない声を漏らして。
奥を突かれるたびに、目の端から涙があふれて。
開いた口からはよだれが垂れて、言葉もうまく出せなくなる。
情けなく乱れて、どうしようもなくなって壊れてくの、ぜんぶ僕が見ていたい。
誰にも見せないの「顔」。
欲しがって、泣いて、甘えて、壊れるところ。