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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第17章 「花は蒼に濡れる**」


温かくて、甘くて――
たったそれだけで、私はもう、
何もいらないって思ってしまうほどだった。


(先生とのキス、好き)


最初は触れるだけ。
けれど、ほんのわずかに角度を変えて、
もう一度、深く――

 

「……っ、ん……」

 

息が漏れた。
唇の感覚だけで、身体がとろけそうだった。

 
先生の指がそっと動いた。
制服のスカートの裾に触れ、ゆっくりと膝のあたりまで撫で上げてくる。


(――っ)
 

心臓が一気に跳ね上がる。

 
(……あっ、まって……)

 
ふと、よぎった。
今日の外に出るだけで汗が滲む暑さ、電車に間に合わなくて走ったこと。
それに、エアコンが壊れてた港までのバス。


唇が離れた隙に、私は勢いのまま口を開いた。

 

「――っ先生、ちょっと、待って!」



キスを中断された先生が、わずかに身体を起こして私を見下ろす。
ほんの少しだけ、眉が寄っていた。

 

「……え、何?」

 

低く呟くその声に、かすかに不機嫌の色が滲む。
続きを邪魔された少年みたいな、少し拗ねた目だった。



「……シャワー……浴びたい、です」

 

一瞬、空気が止まった。
先生は目をぱちくりと瞬かせて――



「……今?」

 

少し間の抜けた声に、私は思わず頷いてしまう。

 

「……だ、だって今日、暑くて汗かいたし……バスの中も暑かったし……」

 

言い訳のように早口で言いながら、顔がまた熱くなっていく。

 

「……もしかしたら、汗くさいかも、で……」

 

どんどん声が小さくなっていく。
 

先生はソファの背に片肘をついたまま、呆れたようにその目が少しだけ細められていた。

 

「僕、別に気にしないよ?」



そう言った次の瞬間、先生が顔をぐっと近づけてきた。

 

「あっ!? ちょ、ちょっと、やめ――!」

 

パニックだった。
先生の顔があっという間に、私の首筋のあたりに近づいてくる。
そして、嗅ぎ取るように深く息を吸い込む気配が、肌のすぐそばに伝わってきた。

 

「……ん、の匂い」

「てか、汗くさいとか、逆にそそるんだけど?」

「~~~っ!!」

 

羞恥心が爆発した。
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