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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第17章 「花は蒼に濡れる**」


「――っ」

 

ビクッと、体が跳ねた。


ほんの、ほんの一瞬だったのに。
まるで背中を撫でられたような感覚に、肩が強張った。

 

「……あー、ごめん。驚かせた?」

 

先生はそう言って、触れた髪を指で優しくつまみ、まるでその感触を名残惜しむように、ゆっくりと手を引いた。

 

「そんなに緊張しないでよ」

「がああ言ってくれただけで、僕は嬉しいから」

 

その目が、横からそっと私を見た。

 

「無理する必要はないよ」



そう言ったあとで、先生はゆっくりと視線を上に逸らした。
額に手をあてて、天井を仰ぐように顔を上げた。

 

「……って言いたいとこなんだけどさ」

 

ぽつりと零れた声。
けれどその声には、いつもの軽さとは違う熱が滲んでいた。

 

「――正直、今、のこと抱きたくてたまんない」

 
 
その言葉に思わず目を見開いて、先生の横顔を見る。
けれど先生はこちらを見ようとせず、
額にあてた手の隙間から、少しだけ苦笑をこぼしていた。

 

「いやなら……はっきり言って」

 

その声は熱を孕んでいて、それでいて――どこか苦しげで。


静かに降ろされた視線が、今度はまっすぐ私を見た。
その青い瞳の奥には隠しようのない衝動と、それを抑える理性がせめぎ合っていた。

 
(せ、先生……)

 
そんな先生の顔がどうしようもなく愛しくて。
胸がきゅっと締めつけられる。


でもすぐに言葉にできなくて、唇が小さく震える。

 
(あの言葉に、嘘なんてひとつもなかったけど――)


気持ちがうまく整理できているわけじゃない。
怖くないって言ったら、嘘になる。


先生のことが好き。
もっと近くにいたいし、触れていたい。
ぎゅってされたいし、いっぱい甘えたい。

 
(……でも、それだけじゃない)


胸が苦しくなるほど、ドキドキして。
さっきみたいに髪に触れられるだけで、体の奥がじんわり熱くなる。

 
(これって……)
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