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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第17章 「花は蒼に濡れる**」


(それで、先生がこの部屋に連れてきてくれて……)

 
ふと想像してしまう。
このベッドで先生の腕の中にいる自分。
肩を抱かれて、額を重ねられて、唇を重ねて――
真っ白なシーツの上で、そっと名前を囁かれて。


(……やさしく、触れられて……)


思わず、息を呑んだ。
次の瞬間、頭まで一気に熱がのぼるのがわかった。


( なに想像してんの、私っ!!)

 
一瞬でも浮かべてしまった光景を打ち消すように、慌てて首を振る。
さっきまで平気だったはずの足元が、なんだかふらつく気がして。
バカみたいに脈が速くて、顔から火が出そうだった。

 
(……意識しすぎ、ほんともう……っ)

 
なんとか落ち着こうとするけど、
頭の中でさっきの映像がちらちら再生されて、思わず自分で自分を小突きたくなる。


(やめてやめて、ほんとムリ、恥ずかしい……!)

 
そのとき、後ろから声がした。

 

「、水でいい?」

「っ――あっ、は、はいっ!」

 

思わず変な声が出てしまって、背筋がぴんと伸びた。


先生がキッチンの方からこちらを覗いていて、
私は何事もなかったかのように慌てて視線を窓の夜景へ向けた。

 

(……落ち着いて、私)

(まだなにも、始まってないから……!)

 
けれど、耳の先まで熱いのはごまかせなかった。



「はい、どうぞ」

 

差し出されたのは、冷たいペットボトルのミネラルウォーター。


受け取った瞬間、指先にひやりとした感触が走って、
その冷たさが、火照っていた頬まですーっと届く気がした。

 

「……ありがとうございます」

 

うまく言えたつもりだったけど、
声が少し震えてしまっていなかったか気になって、こっそり唇を結び直す。

 
先生はそんな私の様子を気にすることもなく、リビングを歩きソファの前に立つ。

 

「座ったら? 立ちっぱも疲れるでしょ」

 

そう言って、手のひらでソファの背もたれをぽんぽんと叩いた。
革張りのシンプルなソファ。
黒に近いグレーの色味が、部屋の雰囲気とよく馴染んでいる。
 


「……じゃあ、お言葉に甘えて……」

 

私はおそるおそる、ソファに近づいた途端――



「ぷっ……」

 

くすっと、笑い声が聞こえた。
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