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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


「――あ、そろそろ時間だな」 

「このあと、とちょっと出かける用事があるからね。さ、みんなは帰った帰った」

「ええっ!? 出かけるって何!? どこ行くの!?」

 

虎杖くんが目を輝かせて詰め寄るが、先生は涼しい顔で、

 

「内緒~」

 

そう言って、いたずらっぽく口元に指を立てる。

 

「え、もしかして……デート!?」

 
(ッッッ!!)

 
「ち、ちち違うっ!! ちがうからっ!!」

「この前の任務がまだ残ってて!デートとかじゃないからっ!!」

 

焦りすぎて息がうまく吸えない。

 

「誤解されるようなこと言わないでくださいっ、先生!」

 

と、つい語気が強くなって睨みつけるように言ってしまった。
けれど、先生は少しも悪びれず、笑みを浮かべたまま肩をすくめる。
 


「……なーんだ、つまんない」

 

野薔薇ちゃんが興味なさげに言った。



「君たちも午後から任務入ってるでしょ。はいはい、出た出た~」

 

先生は扉の方を指さしながら、片手でシッシッと追い立てるような仕草をした。



「えぇー!? まだ全然話してないのに!」

「ドーナツ、私にも食べさせなさいよ!」



虎杖くんと野薔薇ちゃんが同時に文句を漏らす。



「任務なんだから仕方ないだろ……行くぞ」

 

伏黒くんが短くそう言って立ち上がる。
その声に、二人も仕方なさそうに腰を上げた。



「、また明日もくるなー!」

「、ドーナツ一個残しといて!」 



虎杖くんたちはそう言って病室を後にしていく。



「……うん、またね。 みんな、来てくれてありがとう」

 

ベッドの上から、私はみんなに手を振った。


伏黒くんだけは無言で、最後にちらりとこちらを見てから、そっとドアを閉めた。

 






病室に静けさが戻る。
残されたのは、私と、先生――ふたりきり。

 

「……」

 
(どうしよう……気まずい……)


目も合わせられず、ドーナツの袋の持ち手をくるくるといじる。
そんな私を見てか、先生がため息混じりに言った。
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