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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


「……まぁ、この男子どもが頼りにならないのはわかるけどさ」

「おい!」



虎杖くんがむくれるように声を上げる。



「俺たちだって頼りになるだろ!?」

「いやいや、が元気ない時は、いつでも相談乗るし! ギャグもやるし!」

「まずギャグやめなさいよ。つまんないのよ」

「えっ! あの時のオッパッピー、けっこうウケてたじゃん!」

「ウケてない。気を遣って笑っただけよ」

「えぇ〜〜!?」



そんなやりとりに、また笑いが弾ける。


気づけば、涙がこぼれそうになっていた。
でも、それは悲しい涙じゃなかった。
あたたかくて、こそばゆくて、でもちゃんと心に届く――そんな気持ちで、胸がいっぱいだった。



「……ありがとう」



声が震えるのを押さえながら、私はそう言った。



「……こうやって、みんなといられて嬉しい」

 

言葉にした途端、それが本当の気持ちだったんだと気づく。
笑って、怒って、からかってくれて。
そんな日常が、こんなにも恋しかったなんて。


その時だった。



「……で、伏黒」



野薔薇ちゃんがストローを咥えたまま、斜めに目を向ける。



「あんたも、言うことあるんじゃないの?」

「……っ」



伏黒くんが、ほんのわずかに肩を強ばらせたのがわかった。


私の視線に気づいたのか、伏黒くんは、ちらっと目を合わせてきた。
その瞳は、どこか居心地悪そうに揺れていて――
それでも、まっすぐだった。



「……あの時」



伏黒くんが口を開いた。



「が軽い気持ちでああいうこと言うはずないのに……俺、勝手にイラついて、頭冷やす余裕もなくて……」



少し俯いたまま、言葉を探すように伏黒くんが続けた。



「……ごめん。傷つけること言って悪かった」



それは、伏黒くんなりの精一杯の謝罪だった。
不器用だけど、誠実で。
まっすぐで。



「……ううん。私こそ、ごめんね」



そう返しながら、私も伏黒くんをまっすぐ見た。



「勝手に……伏黒くんの気持ち、わかったつもりになってた。
でも、あのとき言ったこと……“力になりたい”って気持ちは、本当だから」



伏黒くんはわずかに目を見開き、それから視線を落とした。
照れくさそうに、小さく頷く。
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