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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


「ほら、一枚くらい平気でしょ。硝子さんには内緒ってことで」

「う、うん……」



ちょっと迷っていたら、虎杖くんが横から乗ってきた。



「ほらほら、これ! 俺が選んだ“ダブルチーズ&ソーセージ”! いっちばん人気だって!しかも、さらにチーズ追い盛り!」

「それ、ほぼチーズの塊じゃねぇか……」



伏黒くんが呆れ顔で突っ込む。



「じゃあ食うな。胃に優しい草でも食べてなさいよ」



野薔薇ちゃんがすかさず言い返す。



「……食うよ」



伏黒くんはやれやれと肩をすくめながらも、紙袋を脇に置いてピザに手を伸ばす。


私はそんな三人のやりとりを見て、思わず笑ってしまう。
あたたかくて、にぎやかで、なんだか……嬉しくて。


その様子を見て、野薔薇ちゃんがくすっと笑い、私の方へと視線を向けた。



「ほら、も。チーズの海に溺れなさいな」



そう言って、カットした熱々のピザを紙ナプキンの上に置いて渡してくれた。
私は両手でそれをそっと受け取った。


ほんのりと伝わってくる温かさ。
とろけたチーズの香ばしい匂いがふわっと鼻をくすぐる。



「……いただきます」



口いっぱいにチーズの香りが広がって、幸せな気分になる。



「……おいしっ」



思わずこぼれた声に、虎杖くんが嬉しそうに親指を立てた。



「だろ!? やっぱチーズ追い盛りが利いてるよな!」

「いや、マジでチーズの味しかしねぇ」



伏黒くんがピザを口に運びながら、冷静にツッコミを入れる。



「熱々のピザにチーズって、それだけで正義よね」



野薔薇ちゃんもぱくっとかじりついて、満足げに頷いた。



「ほら、ももっと食べなさいよ。元気つけなきゃ」

「うん……ありがと」



ふと気づくと、笑い声がぽつぽつと病室に満ちていた。
白い壁も、ベッドのシーツも、さっきより少しだけ明るく見える。


チーズがのびるたび、みんなの顔がくしゃっと笑顔になる。
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