• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


先生はサングラスをポケットにしまい、空を見上げた。
そして、気だるそうに身体を伸ばす。

 

「……さーて。一件落着したわけだし、なんか食べて帰ろっか」

 

目元を緩めて、先生がそう言った。



「暑いし、かき氷なんてどう? はいちごと宇治金時ならどっち?」

「僕は、練乳たっぷりかかったいちごだね」

 

陽射しが先生の髪を透かしていた。
まるで光を纏っているみたいに、白い髪がきらきらと揺れて――

 
目を細めた笑顔が、太陽に負けないくらい眩しくて。

 
……もう、ずるいよ。
そんな顔、見たら――


(……今なら、言える気がする)

 
夏の暑さのせいかも。
死にかけたばかりだからかもしれない。
いや、任務が終わって気が緩んでるから……?


それとも――
ずっと遠いと思っていたこの人に、ほんの少し近づいたから……?


(……全部、かもしれない)


理由なんて、うまく言葉にできない。
ただ今度は、自分のこの気持ちに……心のままに従ってみたくなった。


私は手を伸ばし、先生の制服の袖をそっとつまんだ。
指先がわずかに震える。



「……?」



先生の声が落ちてくる。
でも私は、顔を上げられなかった。 


袖を握ったまま、先生の胸元へと顔を寄せる。
遠慮がちに、だけど……もう、後には引けなくて――
こつん、と額をあずけた。
 


「……わたし……」



唇が、かすかに震える。
/ 452ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp