• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第16章 「心のままに、花が咲くとき」


私の言葉に、先生はふっと目を伏せ――

 

「……くそっ」

 

小さく舌打ちをして、低く吐き捨てるように呟いた。

 

「……あの電話の男」

 

その声音は静かだったが、明確に何かを“確信”していた。
先生の横顔が、鋭く強張っている。
 


「おそらく、そいつが今回の任務を仕組んだんだろうね」

 

私は思わず、顔を上げた。

 

「……え?」

 

頭が追いつかない。

 

「な、なんのために……?」

 

問いながら、自分の声が少しだけ震えているのを感じた。
先生は私の目を見たまま、静かに言った。

 

「……の力を、覚醒させるため」

 
(力を……?)


「それともう一つ――」

 

先生の声が、ほんのわずかに低くなる。

 

「その男は今でも悠蓮と何らかの関係がある」

「悠蓮と……関係があるって……」

 

自分の声が自分のものじゃないみたいに、掠れて聞こえた。

 

「でも……悠蓮は千年前に死んでるのに……」

 

言いながら、胸の奥がざわついた。
そして、ふと脳裏に浮かんだ疑問が口を突いて出た。

 

「……まさか……“悠蓮の記録を改竄した”のも……諏訪烈が?」

 

先生はわずかに目を細める。

 

「……そこまでは、まだわからない。けど、可能性は十分にあるね」

 

言い終えたあと、先生の目がほんの少しだけ険しくなった。

 

「を助けたのも、きっと……まだ“利用価値がある”と思ったから」

 

その言葉に、心臓が冷たく締めつけられるような感覚が走る。


(利用……価値……)

 
誰かの意志で動かされていたのかもしれないという恐怖。


(私が覚醒したのは……)

 
あの男の――諏訪烈の、思惑のうちだった。
自分の意思だったはずの“選択”に、誰かの影が差していたのだとしたら。

 
怖い。
でも、それ以上に悔しい。
/ 456ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp