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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第15章 「その悔いは花冠に変わる」


***


夜道を走る車内。
ハンドルを握る伊地知の横顔は、やや引きつっていた。

 
後部座席には腕を組んで足を組んで、ふんぞり返る五条悟の姿。
その顔には明らかな不機嫌が滲んでいる。

 

「……伊地知、甘いもん食べたい。今すぐ」

「えっ、あ、甘いものですか?」

「……ケーキでも、プリンでも、なんでもいい。……寄って」

「い、いやぁ……さすがにこの時間では、空いてる店が――」

「開いてるとこ、探してよ」

 

その声音に、伊地知の手がハンドルの上でわずかに震えた。

 

「……そんな、理不尽な……!」

「ったく……はぁぁぁぁぁ……」

 

五条の大きなため息が車内に響く。

 
(ため息つきたいのは、こっちなんですが……)


伊地知は心の中で静かに突っ込んだ。


(最近、五条さんの機嫌悪いな……)

(ときどき、何か考え込んでるようにも見えますし……)

 
伊地知がちらりとルームミラーを見やった、そのとき――

 

「ねぇ、伊地知」

「は、はい?」

「最近、元気?」

 

唐突な問いに、伊地知はハンドルを握ったまま目を瞬いた。

 

「え……いや、それは五条さんの方が……詳しいのでは……?」

 

後部座席の五条は返事もせず、窓の外を見たまま沈黙している。
伊地知は慌てて取り繕った。

 

「元気そうには、見えますけど……」

「……今日のの任務は?」

「え?」

「いいから、調べて」

 

五条の声に押され、伊地知は小さく息を呑んだ。
すぐに車を路肩へと寄せて止めると、タブレットを取り出して操作を始める。

 
その横で、五条はポケットからスマホを取り出した。
画面を開く。
そこには、とのメッセージアプリの画面――
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