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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第15章 「その悔いは花冠に変わる」


しゃがみこんで拾い上げると、それは貝殻のキーホルダーだった。
淡い色の貝殻が、丸いガラス玉と一緒に揺れている。


(……誰かの落とし物かな?)


そのとき、水原さんの声が背中越しに届いた。

 

「さん、何か……感じますか?」

 

私はそれをポケットにしまい、視線を海へと戻す。
眼鏡をかけて近辺に注意を向けながら、微かな揺らぎや気配を探る。

 

「……今のところ、何も感じませんね」

「聞き込みでも、“夜に声が聞こえた”という証言ばかりでしたから、もしかすると、日中は現れないのかもしれません」

 

水原さんは頷きながら、腕時計をちらりと確認した。

 

「……そうですね。ただ、申し訳ないのですが、夜は別件の任務が入っておりまして。同行は難しそうです」

「あ、そうなんですね」

 

少しだけ考えてから、私は軽く首を振った。

 

「なら、大丈夫です。夜は私ひとりで確認しますので」

「……いや、それは。大丈夫ですか?」

 

少しだけ眉を寄せながら、水原さんがこちらを見る。

 

「はい。調査任務ですし、それにこの程度なら問題ありません」

 

強がりではなく、本心だった。
もちろん気を引き締める必要はあるけれど、恐れが勝つほどではない。

 

「……わかりました。念のため、何かあったらすぐに連絡して下さいね」

「ありがとうございます」

 

私は小さく笑って応えた。
風がまた吹き抜け、潮の匂いが髪を揺らす。


陽の光はまだ眩しい。
けれど、この場所に夜が訪れたとき――
そこに何が現れるのか。
確かめなければならない。
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