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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第14章 「その花は、誰のために咲く」


「……ん?」

 

そんな空気を察してか、先生が眉を寄せた。



「……なに? ケンカでもした?」

 

冗談めかしてそう言う声に、わたしは答えられなかった。


そして伏黒くんが、静かに立ち上がる。
そのまま、先生のほうも見ずに、迎えの車へと歩き出していった。


その背中に、五条先生が声をかけた。



「恵?」

 

振り向かずに、伏黒くんが短く言った。

 

「……今後、との任務は外してください」

 

その言葉だけを残して、彼は迎えの車に乗り込んでいった。
車のドアが閉まる音が、どこまでも重く響いた。

 
わたしは、何も言えなかった。
ずっと手を強く握ったまま、下を向いていた。

 

「……」

 

先生の声が、すぐそばで落ちる。

 

「恵と、なんかあった?」

 

顔を上げられないまま、小さく首を振った。

 

「いえ……わたしが、全部悪いんです」

 

その言葉しか、出てこなかった。
ほんとうのことを、どう伝えればいいのかわからない。
言い訳になってしまいそうで、怖かった。


先生は、何か言いかけたようだったけれど――

 

「五条さんっ」

 

伊地知さんが、慌ただしく駆け寄ってくる。
先生はわたしに視線を残したまま、ふうっと一つ息を吐いた。
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