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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第13章 「咲いて、散って、また咲いて**」


「……ふ、ぁ……っ、んん……」



喉の奥から漏れた甘い声に、自分自身が驚く。



「ほら、その声。好きなんだよね、僕」

 

意地悪く囁かれ、顔がますます熱くなる。



「先生っ……!」

 

必死に押し返そうとした、そのとき――





「悟様、おはようございます」



廊下の向こうから、榊原さんの落ち着いた声が響く。


(……っ!!)

 
顔の熱が一気に引いていく。

 

「朝食のご用意ができております。お支度が整いましたら、広間へどうぞ」 

「……はーい、すぐ行くよ」

 

気だるげな返事をしながら、先生は布団からゆっくりと身を起こす。


わたしは固まったまま、視線も動かせない。

 
そんな様子を面白がるように、
先生はくすりと笑って言った。

 

「さっきの……聞こえちゃったかもね」

「……っ、わ、私……もう榊原さんの顔、見れないです……っ」

 

思わず枕に顔を埋めた。



「はは、が大きい声出すから」

「先生のせいでしょっ!!」

 

即座に言い返して顔を上げると――
先生が、ちょうど浴衣の帯をゆるく結び直しているところだった。

 

襟元は乱れたままで、
昨夜の名残を思わせるように、胸元がわずかに覗いていた。

 
起き抜けなのに、
なぜか妙に、艶がある。

 
(……無駄にかっこいいんだから…)

 
心のなかで、そう呟いてしまった。

 

あんなにからかってくるのに、
こんなふうに色っぽいのは、ずるい。

 
先生は帯を結び終えると、
ちらりとこちらに視線をよこす。

 

「ほら、。行こっか」

 

そう言って、手を差し出してくる。

 
朝の光を受けたその指先が、まぶしく見えた。
柔らかくて、頼りがいがあって、何よりも、ずるいくらいに優しい。


わたしは、そっとその手に自分の手を重ねた。

 
指先に触れた瞬間、
先生の手がきゅっと、少しだけ強く握り返してくる。


(……あ……)


心臓の音が、また早くなっていくのがわかった。


先生の手に引かれながら、わたしはそっと立ち上がる。
まだほんのりと温もりの残る布団の上で、
ふたりの影が重なる。

 
そして、朝の光が満ちる部屋をあとにし、
先生と並んで歩き出した。
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