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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第13章 「咲いて、散って、また咲いて**」


(……僕のもの、なんだって)


当たり前みたいに抱いていたその感情が、
輪郭を持って、はっきりと形になった。

 
ただ可愛いとか、大事にしたいとか、
そんな言葉だけじゃ足りない。


(……やばいな、ほんとに)
 

こんな感情、知らなかった。

 
たった一人の女の子に、
ここまで本気になる自分がいるなんて。


の手を、そっと自分の頬に持ってくる。

 
(……わかる? 僕、まだ全然我慢してんの)

 
寝てるのに、こんなに愛おしい。
隙あらば奪ってしまいたいのに、ちゃんと待とうと思ってる。


“そういう男”になったのは、
きっと、に出会ったせいだ。


そっと、腕の力を強める。
胸元にぴたりと寄り添うの体温が、
心の奥まで沁みてくる。

 
(……でも、次は……もう、待てないよ)


限界ぎりぎりで飲み込んだ衝動が、まだ胸の奥で燻ってる。


額に唇を寄せて、そっとキスを落とした。

 

「……おやすみ、」

 

少しでも長く、触れていたくて。
少しでも近くで、守っていたくて。

抱きしめたまま、僕もゆっくりと目を閉じた。

 

 











やがて――
静けさが、部屋の空気を包みこむように満ちていく。

虫の声も、夜のざわめきも、遠い彼方へと溶けていった。
ただ、窓の外に残るのは、夜明け前のやわらかな闇。


その穏やかさのなかで――
ふと、空気がわずかに揺れる。

 

「……す……わ……れつ……」

 

それは、眠る少女の唇からこぼれた、かすかな囁き。
けれどその音だけが、妙にくっきりと、夜気に溶け込んでいった。

 
まぶたは閉じたまま。
頬にかかる髪が、呼吸に合わせてふるえている。

 
彼女はまだ夢の中にいる。
けれど、その胸の奥、魂のいちばん深いところで。
何かが、そっと目を覚ましかけていた。

 
それは、遠く、深く――
決して触れてはならない、封じられた場所。
 

花が咲くはずの場所ではない。
あたたかな光も、祝福も、届かない。

 

そこは、“蠢き”が息づく場所――


その底から這い上がるように。
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