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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第12章 「極蓮の魔女」


「……なんで、正座?」

「えっ……い、いやっ、これは……!」

 

慌てて答えると、先生は首を傾げながらも、
目の前に冷えたペットボトルを差し出した。

 

「ほい。喉乾いたでしょ?」

「あ、あ……ありがとうございます!!」



思わず、手をついて頭を下げてしまった自分に、
さらに顔が熱くなる。
どこからどう見ても挙動不審で、我ながら情けない。



「いや、武士かよ」



先生がタオルで髪を拭く手を止め、ツッコんでくる。 


そんなわたしの挙動を面白がるように見つめながら、
隣の布団にすとんと腰を下ろした。
 


「ふぅ……久しぶりに、ちゃんと湯船つかったなー」

「高専にいるとさ、時間なくてシャワーばっかりだから」

「……そう、なんですね」



わたしはお茶をそっと口に運ぶ。
冷たい液体が喉を通るたびに、少しずつ身体の熱が落ち着いていくのがわかった。



「どうだった? お風呂」

「えっと……とても、いいお湯でした」

「そ、ならよかった……」



先生が、わたしをじっと見つめる。



「湯上がりの、初めて見たけど――」 

「……可愛い」 

「っ……!!」

 

一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
理解できた瞬間、顔の温度が一気に跳ね上がるのがわかった。



「な、あの……っ!?」



あたふたと視線を泳がせるけど、
先生は、まるでそれが当然かのように微笑んでいて――


そのまま、わたしの頬にそっと手を伸ばした。
指先が、ゆっくりと頬から滑り、首筋へと触れた――

 

「……っ」

 

ぴくん、と身体が小さく跳ねた。
思わず息をのむ。


(せ、先生……?)


じっと見つめられる。
目が、離せない。


透き通るような、静かで、深い青。
けれど今は、そこに確かに“熱”が宿っていた。


見つめられるたび、わたしのすべてが、
静かに引き寄せられていくみたいだった。


先生の手は、ただ静かにそこにあるだけなのに。
だけど、それがあまりにもやさしくて、あたたかくて。



「」

 

名前を呼ばれた瞬間、また心臓が跳ねる。
先生が、ほんの少しだけ声のトーンを落とした。
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