第12章 「極蓮の魔女」
そっと自分の胸元に目を落とす。
(……やっぱり、小さいよね)
思わず、水面に肩まで沈み込んでしまう。
誰かに見せるなんて、想像するだけで心臓がひっくり返りそうになる。
(先生に……こんなの、見られたら……幻滅されたらどうしよう……)
わたしの身体なんて、どこも自信なんかなくて。
ただでさえ、温泉とかでも恥ずかしくてずっと隠してたのに。
(……それでも、“触れたい”って……思ってくれるかな?)
信じたい気持ちと、怖い気持ちが、ぐるぐると混ざっていく。
(私なんかじゃ、だめなんじゃないかって……)
(でも、ちゃんと……先生のそばにいたくて)
そう思うだけで、胸の奥が震えてくる。
いけない妄想じゃないってわかってるのに――
なのに、心はどこかで、勝手に先のことを考えていた。
(……もし、先生に触れられたら……)
(あの手で、身体に――)
そこまで想像した瞬間、
頭のてっぺんまで一気に湯に沈み込んだ。
ぼこぼこと、泡が立つ。
湯の中で、目をぎゅっと閉じる。
(……な、なに想像してんの、私!!)
湯の温度すら感じないほど、顔が熱くてたまらない。
心臓の音ばかりが耳に響いて、落ち着くどころじゃなかった。
やがて、ぷはっと顔を出し――
(……うん、出る前に、もう一回ちゃんと身体、洗おう)