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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第12章 「極蓮の魔女」


「……たとえば……力を使うことで……“何か”……災いが起こるとか……」

 

ほんの少し、先生の目が細くなる。
 


「……可能性はある。
 “送る”って行為が、もし“死”と近いものだとしたら――
 何か、取り返しのつかないことが起こるのかもしれない」

 

先生は、破れた部分をもう一度じっと見つめた後、ふっと顔をあげて口元をゆるめた。

 

「……ま、とりあえずこれ持ち帰って、伊地知に分析でも頼んでみるよ」



そう言って先生は、冊子をかかっていた布で丁寧に包む。
その手つきに、わたしはそっと視線を落とした。


(……花冠の魔導は、苦しんだ魂を“解放”する力)

(……でも、それだけじゃないのかもしれない)

(だから――悠蓮は、“魔女”と呼ばれたのかな)

 

やさしくて、あたたかくて。
けれど、何か“災いをもたらす”力でもあったのなら――

 
(……やっぱり……わたしの力は――)


つかみかけた答えは、すぐに霧のように指の隙間からすり抜けていく。
届きそうで、届かない。

 


 

「」

 

不意に呼ばれ、顔を上げた。

 

先生が少しだけ顔を寄せながら、目を細めて言った。

 

「……お腹、減ったでしょ。呪術師はまず、腹ごしらえだよ」

 

まるで、この沈んだ感情を持ち上げてくれるような
気軽で、でも確かに優しいその言葉に――
わたしは、不意に笑みをこぼしていた。

 

「……はい」

 

――答えはまだ遠いけど
それでも、この人の隣でなら
迷っても、揺らいでも、前に進める気がした。
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