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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第12章 「極蓮の魔女」


「……破れてる」

 

めくられた隣の頁は、中央からざっくりと裂かれ、
内容のほとんどが失われていた。

 

「――誰かが、意図的に破ったみたいだ」

 

そう言って、先生は破れた断面をそっとなぞる。
そこには、何かを書きかけたような痕跡が、うっすらと残っていた。

 

「“花冠”の詠みとは別に……
 まだ“何か”が記されてたっぽいけど……」



もう一度、冊子の中を確かめるように、ぱらぱらとページを繰っていく。


先生がめくった最後の一葉――
そこには、わずかに墨が滲んだ筆文字が、静かに記されていた。

 

『この記録は 第八代 五条家当主 五条 靖厳 により編纂されしものなり』

 

「……五条……せい……げん?」

 

わたしがその名をそっと読み上げると、
先生の手がふと止まり、表情に一瞬だけ影がさした。

 

「本当に……“悠蓮”の記録が、うちから出てくるなんてね」

 

先生は、小さく息を吐きながら冊子を閉じかけ――
ふと、眉をひそめた。

 

「……にしては、腑に落ちないことが多すぎる」

「……腑に落ちない?」

 

わたしが首を傾げると、

 

「もし、この記録が正しいなら――
 悠蓮の力って、もっと普通に評価されててもよくない?」

「……確かに、そうですね」

 

先生は破かれた頁に目を落としたまま、続ける。

 

「呪霊も祓えるんだよ?
 呪術師不足の呪術界では重宝されそうだけどな」

「……破かれたところに、理由が書かれてたんでしょうか……?」



問いかけながら、自分でも理由のわからない不安が胸をよぎった。
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