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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第11章 「魔女はまだ、花の名を知らない」


「……は?」

「……え、だから、今年の“初雪”はいつかなーって、ちょっと気になって……」



一瞬の沈黙のあと、



「まだ夏も始まってないのに?」



そう言って、先生は吹き出した。
堪えきれず肩を揺らして笑ってる。



「~~~っ、わ、笑わないでくださいっ!!」



私はうつむいて、ぷいっと顔をそらした。
だけど、耳まで真っ赤になってるのが自分でもわかる。


それなのに――



「……はほんと、可愛いね」



先生は笑いながら、
だけど目隠し越しでもわかるぐらい、
その目はまっすぐに私を見ていた。



「っ……」



頬の熱がさらに増した。
というか、もう顔だけじゃなく、
耳も首も全部がぽかぽかしてくる。


(な、なんなの、今の……ずるい……!)


目を合わせられなくて、俯いたまま、必死に別の話題を探す。



「……そ、そういえば……」



なんでもないふうを装って、そっと口を開いた。



「昨日、夢を見たんです」



先生が、ん? と首をかしげる気配がする。



「夢?」



私はこくんと小さくうなずいた。



「なんか……妙にリアルで。悠蓮が出てきて――」



そう言った瞬間、先生の雰囲気が少し変わった気がした。


私はゆっくりと、夢の内容を思い出しながら続ける。



「……白い花が、頭の上に降りてきて……冠みたいな、光の輪になって……」



胸のあたりに手を置いて、言葉を探す。



「悠蓮はそれを、“送り出すもの”だって言ってました。
 あとは……“おまえの心に従え”って……」



言葉にしながらも、自分でもよくわからない。
だけど、そのときの感覚は――
今もまだ、胸の奥に残ってる。


先生は黙っていた。
けれど、ただ黙っているわけじゃない。
聞いたことを、ちゃんと咀嚼して、考えているような。
そんな沈黙だった。



「……送り出す、ねぇ」



そう言いながら、地面の小石をひとつ、手に取る。


ひょいと軽く空中に投げ――
その瞬間、それが消えた。



「……!?」



思わず、目を見開く。



「送るって、たとえば“物をどこかに移動させる”みたいな、
そういう類いだったりするのかなって」



先生はひとつ肩をすくめるような仕草をして、続けた。
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