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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第11章 「魔女はまだ、花の名を知らない」


手渡された紙袋の中には、丸い小さな大福がいくつか。
手に取り、口に含む。
ずんだの粒感と、生クリームのやさしい甘さが口いっぱいに広がった。



「……おいしい」

「でしょ? 最強の組み合わせなんだから」



そう言いながら、先生もひとつ手に取って包みを開ける。
ぱくっと口に運ぶと、ほんの一瞬だけ、目元がゆるんだ気がした。



「……んー、やっぱコレだよね」



嬉しそうな声。
なんてことのない表情なのに、その食べ方がなんだか可愛くて――
私は、つい見とれてしまった。


(……先生、こういうとき、ちょっと子どもっぽい)


だけどそれが、すごく好きだった。


肩の力が抜けるような、ほんの小さな時間。
だけど、こんな時間がいまの私にはとても大きかった。



「そういえばさ」



不意に先生が口を開く。



「さっき……スマホ、見てたでしょ」

「っ……!」



ぎこちなく顔をそむけた。



「……う、うん。見てましたけど……」

「んー、なんか文字打とうとしてたように見えたんだよね。
 何調べてたの?」



一瞬で顔が熱くなる。



「て、天気ですかねっ……!」

「……天気」



先生の声が、明らかに含み笑いを含んだトーンになった。



「……”はつ”、で始まるの?」

「~~~!!」



顔から火が出そうだった。



「み、見たんですか!?」



思わず声が裏返る。
睨むように先生を見ると――



「いやいや、見るつもりなかったけどさ。、近づいても全然気づかないんだもん。画面まる見えだったよ」



先生は、悪びれもせず肩をすくめる。
口元には、いたずらっぽい笑み。


……やっぱり、バッチリ見られてたっぽい。



「べ、別にやましいこと調べてたわけじゃ……!」

「ふーん?」



私は必死に弁解しながら、苦し紛れに言葉を探す。



「えっと……その、“初雪”を……!」



先生がぴたりと動きを止める。
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