• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第11章 「魔女はまだ、花の名を知らない」


「いや、なんとなく。空気がふわって揺れてたからさ。
 君の力、草花に反応しやすいでしょ?」

「さすがに“視える”わけじゃないけど、空間の揺れ方が……ちょっと異質だったから」



私は、思わず先生の顔を見上げる。
そして、自分の手のひらを見つめた。


指先から何かが出ているわけじゃない。
だけど、たしかに――
何かが“起きていた”。


(……やっぱり、私の中の力って……)


そのとき。



「――あ、そうそう。これ」



先生が片手に提げていた紙袋を、ひょいと持ち上げる。



「仙台名物、喜久福~。出張のお土産」



にこりと笑って、袋を私に差し出す。



「僕のおすすめは、ずんだ生クリーム味。
 一緒に食べよ?」



その言葉に、私はつい目を見開いてしまう。
だけど次の瞬間、思わずふっと笑っていた。


嬉しかった。
不安だった気持ちも、胸のざわつきも、
その一言でふっとやわらいでいく。


わたしは、小さく笑ってうなずいた。



「……はい」



たったそれだけのやりとりなのに、
胸の奥が、じんわりあたたかくなる。


“先生と一緒に”――
ただそれだけで、こんなにも安心するなんて。


先生がベンチに腰を下ろし、私もその隣にそっと座った。
/ 442ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp