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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第10章 「花は焔に、焔は星に」


「ま、ま、まって……せ、先生、こ、ここ屋上……ですっ……!」



視線が泳ぐ。
心臓がうるさいくらいに暴れていた。



「だ、だめです……誰かに見られたら……っ!」



慌ててあたりを見渡しながら、声が裏返る。
けれど、五条はと言えば――



「えー、いいじゃん。誰かに見られて困ることでもあんの?」

「っ……あ、ありますよねっ!!」



目の前であっけらかんと笑う五条に、は必死に抗議する。
が、彼はどこ吹く風だった。



「いーのいーの。むしろ見せつけてやればよくない?」

「は……!? な、なに言ってるんですかっ!」

「だってさぁ?」



五条はの耳元に口を寄せ、わざと囁くように言った。



「が僕のものって。……みんなに知らしめたい」

「~~~~っっっ!!!」



真っ赤な顔でがのけぞろうとしたその瞬間、
彼の腕がするりと腰にまわって、逃がさないように引き寄せられた。



「……大丈夫。見られても、僕が全部なんとかするから」

「そ、そういう問題じゃ……っ!」



が声を上ずらせた、その瞬間――

 

「……」

 

急に、低く、静かな声で名を呼ばれた。
それだけで、心臓が跳ねる。


ふざけていた空気が、嘘みたいに一変した。


が顔を上げると、
五条は、もう笑っていなかった。


ただまっすぐに、彼女の瞳を見つめていた。



「……な、なんですか……」



小さく問いかけるに、五条はそっと囁く。



「好き」

「…………っ!」



再び真っ赤になって言葉を失うを見つめながら、
五条はそっと顔を近づけた。


そして――
もう一度、ゆっくりと唇を重ねる。






ひとすじの流れ星が、静かに瞬いて消えた。


夜風が、草木を揺らす。
そして月は、何も語らずにふたりを照らしていた。


ふたりの影が、重なったまま、静かに夜へ溶けていく。


その夜、星空は、
まるで二人を祝福するかのように――
ひときわ優しく、優しく瞬いていた。
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