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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第10章 「花は焔に、焔は星に」


***



「あれ……熱くない……?」



閉じていた瞼を、そっと開ける。
ぼんやりと視界が滲み、淡い光が揺れていた。


は、自分の身体に意識を向けた。


(……燃えてた、はずなのに……)


皮膚の焦げる匂いも、灼熱も、何ひとつ感じない。
息もちゃんとできる。胸も苦しくない。


(……なに、これ……?)

(……私……死んで、ない……?)


足元がふらつく。


その瞬間――視界に、花びらが舞った。
淡い光を受けて、ふわり、ふわりと空を漂う白の輪郭。
それは炎の残滓ではなかった。
むしろ、やさしく降る雪のように、彼女の周囲にそっと寄り添っていた。


(……花……?)


まるで現実に溶けた夢みたいだった。


ざわめきが耳に届いた。
術師たちの動揺、楽巌寺の怒号、誰かの呻き。
でも、どれも現実感がなかった。


ただ、一歩だけ、音を立てて近づく足音があった。



「……先生……?」



声にならない声がこぼれる。


五条が、静かに歩み寄ってきていた。



「よっと」



の背後に回り、縛られていた帯を解いた。


自由になった腕をそっと抱えるようにして、は声を上げた。



「え……え、私、死んだんですか……?」

「はは、まだ死んでないよ」

「……じゃあ……じゃあ、これは一体……どういうことなんですか……?」



困惑と動揺が滲むの声に、五条はニヤリと笑いながら言った。。



「。……昔も、似たようなことあったんじゃない?」

「……え?」



思わず聞き返す。



「高専に入る前、硝子に話したの、覚えてない?」



その日の記憶が、ゆっくりと浮かび上がる――
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