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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第10章 「花は焔に、焔は星に」


氷のような眼差しで、まっすぐ楽巌寺を睨んだ。



「誰に言ってんの?」



低く抑えたその一言には、圧倒的な気配が走っていた。
“最強”としての――誰も抗えぬ、絶対の存在感が。



「……では、始めるとする」



そう言いながら、楽巌寺が手を上げ、合図を送る。
処刑場に、緊張が走り、場の全員が息を呑んだ


五条は、ゆっくりと片手を持ち上げ、指先に、呪力を集中させる。


(先生……信じてって、どういう意味?)

(……苦しまないように、一瞬で終わらせてくれるってこと?)

(それとも……)


信じたい気持ちと、恐怖と、現実がぐちゃぐちゃに絡み合って、頭の中が真っ白になる。


(ほんとうに……先生の術式、真正面で受けることになるなんて)


目を閉じる。
縛られた手が震える。


(……怖い、でも……)

(……先生……)

(それでも、あなたを――)


ほんの少し、口元が動いた。


(信じたい……)


その瞬間だった。




「術式反転――“赫”」




五条の声と同時に、赤い光が、空気を裂いた。


眩い閃光。
風を巻き込む衝撃。
空間そのものが軋むような音とともに、炎が爆ぜた。


赤い呪力の奔流が、地を這い、天へと昇る。
風が引き寄せられ、炎が咲くように膨れ上がった。


の身体は、その中心で――
瞬く間に、炎に呑まれた。――だが、誰にもその姿を“見る”ことはできなかった。


火と煙が、あまりにも濃く、強く、荒々しく、
視線を受けつける余地など残されていなかったからだ。


炎の凄まじさに、誰もが思わず息を呑む。
ただ、立ち尽くすことしかできなかった。
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