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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第2章 「はじまりの目と、最強の教師」


午前中の座学を終えたたち一年生は、五条に連れられ、 高専敷地内の廃ビルを模した訓練エリアに立っていた。


無骨なコンクリートの壁、崩れかけた梁、ひび割れた床――すべてが戦闘と検証のために設計された無機質な空間だ。



「今日は軽く模擬戦ね。呪霊は低級だけど、油断したら死ぬよ」



五条がポケットに手を突っ込んだまま、軽く笑う。



「は初めてだから後衛。無理せずサポートでいい」

「……はい」



声は返したが、の足は重い。
目の前の光景は、まるで別世界のように無機質で冷たい。


(……わたし、本当に戦えるの?)


何をすればいいのか、どう動けばいいのか――頭が真っ白になる。


奥から、ねっとりとした呪気が近づいてきた。
姿を現したのは、四体の低級呪霊。異形の目が、真っ直ぐを捕らえる。



「いくぜ!」



虎杖が真っ先に前へ飛び出す。
伏黒が冷静に式神を展開し、釘崎が後方から釘を構える。


(……どうしよう。何を――)


考える間もなく、ひとつの呪霊が床を蹴り、一直線にへ飛びかかってきた。


恐怖で足が動かない。
反射的に、は手をかざした。


その瞬間――。


胸の奥から、灼けるような熱が噴き出した。
全身を駆け抜け、肌の内側から光が咲き溢れる。


視界の端で、無数の花弁のような光片がふわりと舞い上がった。
それは風もないのに渦を描き、を中心に空気が震える。



「――っ!」



呪霊が触れるより先に、白色の閃光が奔る。
目の前の呪霊は形を保つ間もなく影と光に呑まれ、音もなく弾け飛んだ。


(……まただ、この感じ――)


自分が何をしたのか理解できないまま、荒い呼吸の中では呆然と立ち尽くした。


その一瞬、の瞳が鮮やかな翠色に輝いていた。


五条の視線が、それを見逃さなかった。
目隠しの奥で六眼がかすかに揺らぐ。


(今の……間違いない。やっぱり彼女の中には――)


だが、呪霊は消えたはずなのに、光は収まらなかった。
の足元から花弁のような光片が次々とあふれ、渦を巻いて広がっていく。



「……え……? 止まらない……!なんでっ?」
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