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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第10章 「花は焔に、焔は星に」


伏黒が眉をひそめる。



「……あの世とこの世、ですか」

「ええ。火は、すべてを灰にするでしょう?
跡形もなく消す……そうすることで、“現世に戻らせない”という祈りや恐れが込められていたそうです」



それを聞いて、伏黒が低く呟く。



「……伊地知さん、詳しいんですね」

「い、いえっ……たまたま昔、調べてたことがあって……!」



伊地知は少し照れくさそうに笑うと、手にしたメモのページを指で押さえながら語り出す。



「たとえば処刑の方法って、場所や信仰によって象徴が違うんです。
首を刎ねるのは“言葉や意志の断絶”。
水に沈めるのは“穢れを洗い――」

「伊地知」



五条の声が、突如空気を裂いた。



「……今、なんて言った?」



伊地知が一瞬、口を閉じる。



「え? 水に沈めるのは“穢れを洗い流す、ですか?」



伊地知が戸惑いながら答えると、五条は首を振った。



「違う。その前」

「……”火は、すべてを灰にして跡形もなく消す”、ですか?」



伊地知がメモを見返しながら答えると、五条の口元がわずかに歪む。
そして、隣の伊地知の背中をパシンと叩いた。



「やっぱお前、有能だな、伊地知」

「は、はぁ……?」



唐突な賞賛に、伊地知はやや困惑気味に笑う。



「……何かわかったんですか?」



伏黒が怪訝そうに問う。
五条は伏黒を一瞥し、すぐに資料を閉じる。
そして、伊地知の顔を見て口を開いた。



「伊地知、すぐ上に連絡して」



五条は、ゆっくりと歩き出す。



「え、五条さんっ?」



伊地知が不安げに問いかけると――


数歩進んだところで、ぴたりと立ち止まった。
そして、静かに振り返る。





「の処刑は――僕が執行する」

「千年前に倣って、魔女を火炙りにしようじゃないかってね」



その声には、どこか楽しげで、不敵な色が滲んでいた。
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