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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第10章 「花は焔に、焔は星に」


「……あの、こんな時にすみません」



廊下の脇から控えめな声が割って入る。


二人が振り向くと、そこには伊地知が申し訳なさそうに立っていた。



「……伊地知?」



五条が片眉を上げる。



「っていうか、いつからそこにいたんだよ?」

「い、いえ! 盗み聞きするつもりはなかったんです、本当に……!」



慌てて両手を振りながら、伊地知は言葉を続けた。



「それより……五条さん、以前頼まれていた“火刑”に関する資料です。ようやく、まとまりました」

「あー……頼んでたっけね」



五条は伊地知から資料の束を受け取る。
綴じ紐でまとめられた数十ページほどの紙束を、めくりながら、何気なく目を走らせていく。



「の中にいる……悠蓮って、火炙りで処刑されたんですか?」



伏黒が、ふと脇から口を挟んだ。
五条は視線を資料に落としたまま、短く答える。



「――そ。生きたまま、火炙り。……残酷だよね」



五条が紙束をめくる手を止めずに言うと、伊地知が少し身を乗り出すようにして口を開いた。



「……火は、古来から“聖なるもの”として扱われてきたんです。
穢れた肉体や魂を“浄化する”――そういう意味合いで使われることが多いみたいです」



伏黒がうなずきながら口を挟む。



「……ああ。だから西洋じゃ、魔女狩りで火刑が選ばれてたんですね」



伊地知が頷きながら続けた。



「はい。見せしめの意味もありますが――
実際には、“あの世”と“この世”の境を断ち切るための、象徴的な儀式だったとも言われています」
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