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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第10章 「花は焔に、焔は星に」


横流ししていた術具の件――
あれを揉み消す代わりに、の居場所を差し出せと上に言われたのだろう。



「……処刑決定の速さも異例ですよね」

「まるで――“最初から、決まってた”みたいな」



五条は静かに目を伏せ、ひとつ息を吐いた。



「……の中の“悠蓮”が目覚めると、相当まずいってことだろ」



蒼い双眸が、ゆっくりと上を向く。



「だから焦ってる。……明らかに、何かを隠してる」



だったら――と、五条の中で何かが決定的に傾いた。



「こっちだって、黙って従う気はない」



上が強硬に出るなら、それに応じたやり方がある。
そう言わんばかりに、五条は静かに言い放った。



「……たとえ上を殺してでも、僕はを守るよ」



静かに、だが決定的な声音で言い切ると――


五条はドアノブを掴み、乱暴に扉を開け放った。
そのまま背を向け、足早に廊下の奥へと消えていった。


バタン、と扉が閉まったあと――
夜蛾は、疲れたように大きく息を吐いた。



「……伊地知」



呼ばれた男は、びくりと肩を揺らす。



「悟を見張れ。……何をしでかすかわからん」

「――は、はいっ!」



伊地知は慌てて姿勢を正すと、すぐに部屋を飛び出していった。

残されたのは、深く沈黙した空間と、硝子のため息だけだった。
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