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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第10章 「花は焔に、焔は星に」


***



「……“会えない”って、どういう意味だよ」



学長室に、怒声が響いた。


五条は机越しに夜蛾を睨みつけ、拳を握りしめたまま一歩も引かない。
その眼には、怒りと焦燥、そして――確かな絶望が宿っていた。



「処刑が決まったからって、本人に会うことすら禁じるってのか? ……ふざけてるだろ、さすがに」



夜蛾は言葉を選びながら、静かに答える。



「……命令だ。上から、“処刑前の関係者接触は禁止”と通達が下りている」

「上の決定がなんだよ。僕にこのまま、見殺しにしろって――」




「悟っ!」





夜蛾が声を荒げて遮る。




「落ち着いて聞け。……は、査問会前に無断で逃亡した。呪術規定に照らしても、明確な違反行為だ」



言葉の重みが、部屋の空気をさらに鈍くする。



「今、お前が動けば動くほど――
彼女の立場は、ますます危うくなるだけだ」



五条は拳を握ったまま、じっと夜蛾を睨みつける。


扉の前に寄りかかっていた硝子が、静かに口を開いた。



「……それにしても、どうして“上”はの居場所を特定できたんでしょうか?」

「伊地知がどんなに探しても見つからなかったのに、あっちはピンポイントで押さえてるなんて、ちょっと出来すぎてる気がするけど」



伊地知も沈黙を破り、低く呟く。



「……報告を受けたのは、昨日の深夜です。“内部からの通報があった”と」



その言葉に、空気が冷え込んだ。


(――深雪か)


伊地知の言葉に、五条は小さく目を伏せた。
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