第2章 「はじまりの目と、最強の教師」
「お、さっすが恵。いきなり核心つくね」
五条はの肩に軽く手を置き、そのまま続けた。
「この子はちょっと特別でね、真希と同じで呪力はゼロ。でも面白い力を持ってるんだよ」
肩に手を置かれ、は思わず五条の方を見上げる。
そこから伝わる手の温もりに、張りつめていた胸の奥が、ほんの少しだけ和らいだ。
「え、面白い力って何?」
虎杖が興味津々といった顔で身を乗り出す。
「それがね、まだよくわからないんだ」
五条は肩から手を離し、軽く両手を広げてみせた。
「でも、呪霊を一瞬で祓ったんだよ。なかなかできない芸当だよね」
「……先生の六眼でもわからないんですか?」
伏黒がわずかに目を細めて問う。その声に、教室の空気が少しだけ引き締まった。
「僕の目で見ても、さっぱり」
五条はちらりとの方を見てから、三人に視線を戻した。
「だからは、自分の力を解明するためにここに来たってわけ。――ってことで、みんなよろしくね」
「クラスメイトが一人増えると賑やかになっていいな、なぁ伏黒!」
虎杖がにかっと笑い、勢いよく伏黒の肩を叩く。
「……四人でもまだ少ないだろ」
伏黒は小さくため息をつきながらも、口元がわずかに緩んでいた。
「ま、女子二人なんだし、仲良くやりましょ」
釘崎がそうと言い、に笑いかける。
その何気ない言葉と、三人の視線に――の胸の奥が、じんわりと温かくなる。
そんな彼女の様子を見ながら、五条は目隠しの奥でわずかに目を細めた。
(その瞳の奥に、何が眠ってるのか。 見せてもらうとしますか――)
口元に、誰にも気づかれない小さな笑みが浮かぶ。
「さて、これからが楽しみだねぇ」