第2章 「はじまりの目と、最強の教師」
翌朝、私は五条先生に連れられて、教室の前に立っていた。
扉の向こうからは、数人の話し声がかすかに聞こえてくる。
手のひらがじんわり汗ばんで、制服の裾を無意識に握ってしまった。
「……緊張してる?」
「少し……」
「大丈夫、悪い奴らじゃないからさ」
そう言って、先生は気楽そうに笑いながら扉を開けた。
「みんなー、四人目の新しい一年生だよ。さ、、自己紹介タイム~」
(え、いきなり……!?)
先生に軽く背中を押されるみたいにして教室へ入る。
その瞬間、室内にいた三人の視線がいっせいにこっちへ向いた。
(わ、見られてる……)
思わず足が止まりそうになる。
でも、ここで黙ったらだめだと思って、なんとか背筋を伸ばした。
「です。……よろしくお願いします」
「おー、よろしく! 俺、虎杖悠仁!」
真っ先に声をかけてくれたのは、少しピンクがかった茶髪の男の子だった。
勢いよく手を振ってくれて、その明るさに少しだけ肩の力が抜ける。
でも、残りの二人は何も言わず。
ただ、じっとこっちを見ている。
(……え。もしかして、歓迎されてない?)
「ちょっとちょっと〜、転校生の歓迎だよ? もっとテンション上げて!」
先生が陽気に場を回そうとするけれど――
「……テンション高い大人って、不気味ね」
女の子の冷めた声が、ぴしゃりと飛んだ。
「ノリ悪いねぇ。ま、いいや。僕がちゃちゃっと紹介するね」
先生は気にした様子もなく、三人を順番に指さした。
「まず手を振ってたのが虎杖悠仁。悠仁は呪いの王、両面宿儺の器なんだ。窓際でむすっとしてるツンツン頭が伏黒恵。そして、超田舎から上京してきたクラス唯一の女子、釘崎野薔薇」
(呪いの王? 超田舎ってどこ?)
先生の紹介があまりにも雑で、逆にどう反応していいのかわからない。
戸惑っていると、
「……呪力は?」
不意に、窓際にいた男の子――伏黒くんが口を開いた。
その視線が思ったより鋭くて、肩がびくっと揺れた。
「お、さっすが恵。いきなり核心つくね」
先生が私の肩に軽く手を置いて、少し得意げに言った。