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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第8章 「この夜だけは、嘘をついて」


少し沈黙が続いたあと、は小さな声で口を開く。



「……先生、さっきはありがとうございました」

「ん?」



軽く首を傾け、横目で彼女を覗く五条。


は視線を落とし、少し間を置いてから口を開いた。



「……私のために、怒ってくれて……嬉しかったです」



指先でジャージの裾をきゅっと握る。



「でも……処刑のこととか、悠蓮のこととか……色々重なって、頭が混乱して」



小さく息を吐く。



「自分の存在が、たくさんの人に迷惑をかけてるって思ったら……死んだ方がいいんじゃないかって……そう、思っちゃって」



ほんの一瞬、声が震んだが、すぐにまっすぐ前を見た。



「……でも、先生の言葉で、目が覚めました」

「たしかに私は、高専でよく思われてないかもしれない。けど……そんな私を、心配してくれる人たちもいる。それは、ちゃんと事実なんです」



胸に手を当て、ゆっくりと顔を上げる。



「だから……その人たちのためにも、自信を持って、胸を張って生きていきたいです」



五条はしばらく何も言わず、ただその瞳をじっと見つめた。
やがて、ふっと口角が上がる。



「うん、いいね。さすが、僕の――」



そこで言葉が途切れる。
唇がわずかに動いたまま、音にならない。



「……先生の?」



突然の中断に、は小首をかしげた。


五条は視線を逸らし、肩をすくめて笑う。



「さすが、僕の『人の心を刺す名言』の一つだね。全米も泣いたっていう噂なんだ」

「なにそれ? 先生、そんなのあるんですか?」



がくすっと笑うと、五条もわずかに口元を緩めた。



「でも……よかったよ。大事なことに気づいてくれて。は、一人なんかじゃない」



その言葉が胸の奥に落ち、静かに波紋を広げていく。
肩に乗っていた見えない重りが、少し軽くなったような気がした。



「――ー!」
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