第10章 副隊長、母に会ってください
「凉〜そろそろ起きてや〜……起きんと、生で挿れてまうで。」
「っ、おはよう!!」
「ははっ、何時やと思うてる?」
首を傾げながら彼を見ていると、スマホを目の前に翳される。
もうすぐで正午になりそうだった。
今日はお互い非番で、夕方に母と会う約束をしている。
というか…。
「ロック画面変えて!」
「ん?可愛ええやん、気に入ってんねん。」
恐らく寝ている時に撮ったのだろう。
涎を垂らしながらだらしなくふにゃっと笑った私が写っている。
私、涎なんて垂らしてたの…。
昨日までは隠し撮りした私の写真だったのに…いや、これも隠し撮りだけど…。
さすがにあんなのは嫌なので、無理やり変えさせた。
頬を膨らませた彼をパシャと撮り、お返しだとでも言うようにロック画面にして、今日一日これにするから!と言い放って洗面所へ向かう。
「ごめんて、そんな怒らんで〜僕のお姫様〜。」
歯を磨いていると後ろから抱きつかれ、頬を擦り寄せてくる。
「夜はあんなに従順で可愛らしかったのに…アテッ!怒ってる君も可愛ええで!」
軽くチョップをすると頭を擦りながら、機嫌を取ろうとしてくる。
そういう意味でチョップしたんじゃないんだけど…。
恥ずかしいことを言うのでしただけなのに。
私も擦り寄せて返すと途端に笑顔になり、デートしよと何度も髪に口付けてくる。
すぐに支度を始めるとちょっと来てと言われるので、声が聞こえた寝室へ向かう。
「好きなの選んでや!」
「へ……え、なにこれ?」
「ん〜買うておいた。やから、全部僕の好みや。」
見せられたクローゼットの中身は半分以上が女性ものになっている。
下にある引き出しを開けて何かを取り出すとつけてみてやと言われる。
「下着まで……いくら使ったの!」
「値段は聞いたらあかんねんで?ほら、サイズ確かめてや。」
ブランド物とか結構あるんだけど…。