第8章 副隊長、別れてください
好きと小さく呟くと聞き取れたのか後ろから抱きつかれ、僕も好きやと返される。
そのまま彼は甘すぎる声で可愛ええ好きやと囁き続け、呼んでいた人たちが来て部屋に通しても離れることはない。
クルッと椅子を回されそのまま振り向くと結構な人数の女性たちがいた。
この人たち全員宗四郎のこと狙ってるってこと?
第3にいる女性隊員ほとんどじゃない?
彼は好きやと頬にキスをして彼女たちを睨んだ。
「自分ら、まだ何もしてへん思うとるやろ。僕が一番怒ることしとるで。」
なんだろうと思い見上げると、なに?ちゅーしたいん?と言われすぐに俯く。
「わからへんのか。僕の凉泣かしたんや、どうしてやろうかなあ。」
「ん?泣いてないよ?」
「泣いとったやろ。」
泣いてたっけ?覚えてないや…あんなにグズグズにされれば、その前の記憶なんてほぼない。
「さっきは全てなかったことにする言うたけど、やっぱ好きな子泣かされたんは、許せへんやん?」
亜白隊長に許可をもらい、彼の膝の上に乗った女性と私を騙そうとした先輩を謹慎処分にし、他は仕事中以外の私への接触を禁じた。
「ほんまはお前ら全員、除隊にしたいんやけどな。優しい優しい僕の可愛い凉ちゃんが、許してくれへんやろうから。」
わかったらはよ消えろと冷たい声を浴びせると女性たちはそそくさと出ていき、彼は私に甘ったるい声で囁き始める。
どのくらいか好きやと囁き続け頬に何度もキスを落とし触れ合っていると満足したのか、離れて自身の席に戻っていった。
しばらく作業を続けご飯を食べてから、今日は訓練してくるねと宗四郎の頬に口付けてから副隊長室を出る。
勤務中にあんなことをしてしまった…実は彼の顔を見るのも恥ずかしい。
廊下を歩きながら頭を抱える。
訓練から戻ってくるとすでに作業を終わらせた彼がおかえりと抱きしめてくる。
「可愛い可愛い僕の補佐官ちゃん〜、はよ帰ってえっちなことしませんか。」
「ご飯食べてお風呂入ってからなら…。」
彼は嬉しそうにはよ帰ろといそいそと私の荷物を纏め始めた。
そのまま私の鞄を持って腰を抱き基地を出ていく。