第8章 副隊長、別れてください
上半身が下着姿の女性が、ジャージのファスナーを開いた状態の彼の膝の上に乗っていた。
一瞬意識が飛びそうになったがなんとか耐えて、彼を見据える。
大丈夫、言える。ほんの少しの間だけ。
じゃないと、彼の膝の上に乗っているあの女性も上に言うのだろう。
その女性をいないものと思って彼に話しかけた。
「宗四郎、あのね…ちょっと話があって…。」
これはちゃうからと女性を退けてこちらに向かってくる。
わかってるよ、あなたが裏切るはずない。
「あのね…別れて欲しい。」
「……は?別れるって、恋人じゃなくなるってことやんな?なんでなん?アレはちゃうから、するつもりなんてない、アレが勝手に服脱いで乗っかってきたんや。」
僕は悪ないと僕がしたいのは君だけやと言ってくる。
ごめん、わかってるから…後ですぐメッセージ送るから…お願い…。
「嫌や、そんなこと言わんでくれや…ほんまに僕はするつもりなかったから…なぁ…ごめんて……間違うて挿れてもうたのもあるんか?なぁ…。」
心が痛い…思ってもないことを言って、彼を傷付けて…。
「あんなことしといて何言ってるんですか、副隊長?別れられても仕方ないですよ。」
先輩が入ってきた。
私が言うと思ったのだろう。
俯いたまま固まっていると温かい胸に抱きしめられる。
ごめん、ごめんなさい…。
宗四郎は先輩にここで何をしてるのか問う。
私が彼女に別れたいと相談したことにしたらしい。
「違う。」
思わず言ってしまった。
肌けたジャージの中に手を入れて、インナー越しに彼の体温を感じる。
「別れろって言われた。じゃないと、宗四郎が副隊長室でいろんな人としてることを上に報告するって…。」
「は……してないで?」
「うん、知ってる。」
恐らく先輩と彼を誘った女性はグルだろう。
先輩に言われたことを全て彼に伝えると、アホちゃうと低く呟いた。