第8章 副隊長、別れてください
副隊長室の近くまで来て、コソコソと声を小さくして話される。
「早く別れてきなよ。いいの?報告しても。あの人の人生終わりだよ?」
本性出すのはや…。
まあ嘘だとバレても関係はないか。
何人いるのか知らないけど、相当の人数がいるっぽいし。
自信満々だから…。
背中を押され、副隊長室の前で聞いてるからと耳打ちをされる。
話が進むのが早い。
私ほとんど何も言っていないのに。
あんなに自信満々なのだ、本当に何かするつもりなのだろう。
本当は嫌だけど、収まるまで別れるしか……嫌だ。
せっかく気持ちを伝えられて恋人になれたのに、こんなんで別れたくない。
「別れないならどうなっても知らないよ。」
耳打ちをされ、グルグルと考えてしまい頭が痛い。
「副隊長って獣みたいなセックスするよね。やってる時はめちゃくちゃ求めてくれるし。」
嘘だ、想像で言ってる。
この人が彼としてるわけない。
わかっているのに、この人と彼がしてるとこを想像してしまい、胸がムカムカしてくる。
早くと背中を押されたのでドアノブに手をかけた。
女の子と遊んでもいいって言ったから、私の目を盗んでしてたりする?
そんなはずないとその考えを振り払ったが、言われてしまえば想像してしまうわけで…。
大丈夫、ちょっとの間だけ…後ですぐにメッセージを送るなりすれば…。
「離れろ言うとるやろ。すぐ凉が戻ってくんねん。」
は?
扉を開けようとしたら中からそんな声が聞こえて、前に女性隊員とそういうことをしていた時のことを思い出す。
彼の声は先輩にも聞こえたようで、ほら…という顔をしている。
違う…誘われただけ、断ってるだけ…。
大丈夫、何も心配はいらない。
そう自分に言い聞かせ扉を開いた。