第8章 副隊長、別れてください
「夏目補佐官、ちょっといい?」
あれから1週間近く経ち、2つ上の先輩女性隊員に呼ばれついていくと、衝撃的な言葉をかけられる。
「副隊長ってさ、いろんな女性隊員を副隊長室に呼んでるらしいよ。私もしたし。」
「……なんのことですか?」
頭が真っ白になり先輩の言ってることがいまいちわからない。
第3の女性隊員はみんな食われたんじゃないかなと笑う先輩を見て、指の先から身体が冷えていくのを感じた。
違う、先輩は嘘を言っている。宗四郎がそんなことをするはずない。
「だからさ、別れたら?私たち上に報告するつもりだし。やっといてさようならって簡単に捨てるんだもん、そりゃあ恨まれるよ。」
別れたら報告しないであげると言われた。
それが目的か…。
私たちと言っている以上、複数人いるのだろう。
もしその人たちがそう証言すれば、彼の言葉はなかなか受け入れてもらえないかもしれない。
はい、じゃあ別れよと背中を押され、副隊長室に続く廊下を歩かされる。
強引すぎ…。
「まっ、待ってください!そんな簡単に別れるなんて出来ません!」
「いや、あなたと付き合ってる今でもやってるからね?嫌でしょ、そんなん。」
そんなはずない。
私はほぼずっと副隊長室にいて、彼も一緒にいる。
一緒にいない時やってんだよと言われ、どうしていいかわからなくなる。
確かに訓練で一緒にいない時はある。
でもその時は彼も訓練をしていることを知っている。
このことを彼に報告するべき?
報告したとしても、すぐに彼女たちが上に報告したら意味ないかもしれない。