第7章 副隊長、一目惚れしてました
業務が終わる頃、彼はこれから会議があるからと鍵を渡してきた。
「僕ん家おって。ちゅーか、同棲して。あと…めっちゃ好きや。可愛ええて離れたない。」
いや、同時にいろいろ言い過ぎ…。
なんで、好きって言う時そんな甘い声なるの。
「わかっ…んっ!?ちょ、ん…ふっ、うむっ…!」
いきなり顎を持たれて親指で唇を開かれると、絡め取られた舌はヌルヌルと彼の舌で撫でられる。
くちゅくちゅと口内を犯されて蕩け始めた頃に唇は離れた。
「続きは帰ったらしよ?待っとって…。」
頬を撫でて名残惜しそうに副隊長室を出ていった。
私も帰る準備をして基地を出た。
一度家に行って着替え等を持ってきたいので、急がなければならない。
最寄り駅で電車を降りると着信音が鳴ったので見てみると母からだった。
出て早々、連絡が遅くなってごめんと謝られた。
「凉、本当にごめんなさい。お母さん何も知らなくて…気付いてあげられなくて…もうあの人とは縁を切ったから、安心して欲しい。もうあなたに近寄らせないから…。」
何度も謝ってくる母にもう大丈夫だよと伝える。
女手一つで私を育ててくれて、私の為に身を粉にして働き続けてくれた。
母が本当にあの人を愛しているのを知っていたから、何も言えなかった。
本当は言うべきだったのだろう。
「お母さん、私ね…あの時助けてくれた人に同棲したいって言われたの。すごく幸せで…だからね、大丈夫だから、好きなように生きて…。」
今までありがとうと、これからもお願いと、母に伝えた。
そしたら、その人に会ってみたいと言われたので、伝えてみると言って連絡を待っててと、電話を切る。
どんな人か伝えたら、驚くだろうなぁ。
温かい気持ちのまま家に戻り着替えを持って、少し買い物をして彼の家へ急いだ。
早くしないとご飯を作る時間がなくなっちゃう。