第2章 副隊長、触らないでください
次の日も何も変わらず訓練や仕事をこなし、昨日途中で終わらせた作業を始める。
「凉、またこないな時間まで…。」
なんで…なんでそんな風に話しかけてくるの?
もうそんな声で私を呼ぶのはやめて…。
涙が零れないように下唇をグッと噛んで耐えながら作業を続ける。
「昨日はごめんやん。勃ってもうたし、誘われたからしてただけやん?そんな怒らんで。」
「もういいです…別にあなたが私に謝る必要なんてありません。」
「泣いとんの?声、震えとる…。」
後ろから抱きしめられて我慢していた涙が零れてしまった。
泣かんでと頬を濡らした涙を親指で拭き取られた。
どうしてあなたがそんなことを言うの。
あんなことをしといて…。
「ほんまはしとらんから…やろう思っとったんやけど、君の顔見たらそないな気ないなった。」
めっちゃ泣きそうな顔しとったんやもんと頭を撫でてくる。
もう私の気持ちはバレてしまっただろうか。
例えしていなくてもしようとしてたことには変わりないし、前にしてたでしょう?
それでも…あなたを好きな私はどうしようもない。
今まで通りの態度を取り続けたら、またあんな風に好きと言ってくれる?
それなら、もう嫌な態度は取らないから…ずっと私を好きだと言って…。
私を好きだと言って付き纏うあなたを見てると、私のものだと思えるの。
こんな風に好きだと言ってもらえるのは、きっと私だけだろうから…。
「泣いとる顔も可愛ええな…好きや。」
「ふふっ…私は作業があるので、あまり邪魔をしないようにしてくれれば、好きにしてていいですよ。」
なんで笑うてるん?と髪に頬を擦り寄せてきて擽ったい。