第7章 副隊長、一目惚れしてました
「えっ、えぇえ?ちょ、泣かんでえ?泣くとこあったぁ?これから四ノ宮のとこ行くんやろ?はよ泣き止んでえな…。」
頬を撫でて額にキスをした彼は涙を食べるように頬を食んだ。
口が開きすぎて全部食べられるかと思った…。
少し八重歯が当たっている。
開いた唇は頬を撫でながら窄まりチュッというリップ音をたてながら離れた。
「ん、泣きやんだな。てか、これで泣き止むんか、おもろいな。」
何がおもろいんだ…笑いながらまた私の手を引いて、今度こそ四ノ宮キコルの元へ向かった。
彼女の元へつくと一瞬パパ…と聞こえた。
宗四郎のことパパって言った!?
いや、突っ込むなと自身を叱り、起き上がろうとした彼女に宗四郎はええからと止める。
復活した怪獣を片付け、被害者も0だったことを伝える。
「君が本獣を仕留めてくれたおかげや。」
彼女は目線をずらし俯いた為、宗四郎は違うんかと問う。
本当は何か気付いてるんじゃないの?
聞いた感じだと、四ノ宮キコルがやったようには思ってないようだったけど。
「いえ、あの怪獣は、私が倒しました!」
すぐに彼女は宗四郎を目をキリッとさせ見つめる。
何かを隠してる…いや、守ってるような気がした。
宗四郎はフォルティチュード9.8の反応がある間、日比野カフカのバイタルが消失していたと言っていた。
何か関係がありそうだがきっと話さないだろうと思い、聞くことは諦めた。
「キコルちゃん、お疲れ様。みんなを守ってくれてありがとう。」
「ありがとうございます。ですが、私はやるべき事をやったまでです。」
そう答える彼女の目には若干迷いがある気がした。
ゆっくり休めと声をかけて出ていく彼を追いかけず、四ノ宮キコルを見つめる。
「凉?どうしたんや?行くで、あいつらんとこ行くんやろ?」
「……うん、宗四郎は先に…副隊長は先に戻ってていいですよ。」
意識していなかったのでつい名前で呼んでしまいすぐに言い直したが、宗四郎は笑いながらはよ戻ってきてなと帰っていった。