第7章 副隊長、一目惚れしてました
「あいつはほんまに…女の子のことなんやと思っとるんや。あないに強く掴んだら痛いに決まっとるやんなぁ?」
手ぇ見せてとレノくんに掴まれていた方の腕を持って袖を捲り、赤ぁなっとると呟いて舌を這わせてきた。
それもそれでどうかと思うけど…。
また誰かに見られるかもしれないのに…。
一通り舐め終わると我慢出来んかったと謝り、後で洗ってなと笑う。
その後、自分で掴んだ方の腕を見てなんにもなっていないことを確認すると、そのまま手を繋いで歩き出す。
「あいつ、絶対童貞やろ。人のもんに手ぇ出してんちゃうぞ。痕残しやがって…女の子の扱いもわからんガキが。」
「可愛いなぁ…。」
何がという目で見つめてきて、市川か!?と叫ぶので宗四郎だよと笑って答える。
「そんな妬かなくても、私は宗四郎のものだよ?」
「当たり前やろ。何年も前から君は僕のやねん。君が一目惚れしてくれた時から決まってんねん。」
その言葉に足が止まり、何を言ってるのかと彼を見つめる。
一目惚れ…?私が?宗四郎に?
いやだって…先に好きになってくれたのは宗四郎…ん??
やっぱ気付いてへんかった?と笑う彼をボーッと見つめる。
あれ…私、一目惚れしたんだっけ?
確かに初めて彼を見た時、かっこいいなとは思った……ドキドキ、した…。
彼が異動してきてからずっと、みんなに刀を反対されながらも好きなことを続け努力し続ける彼を見てきた。
そんな姿をずっと追いかけていた。
好きだったからずっと見てたんだ、私…。
すごいなぁって、私もあんな風に好きなこと続けたいなっていう憧れだけじゃなかったんだ。
「なんだ、先に好きになったのは私なんだ…宗四郎がずっと好き好き言うから、絆されたのかと思ってた。」
「ふふっ、そうやで?君にずっと見られとったから、僕も気になってもうたんや。好きになってくれてありがとうな。」
それは私のセリフなのに…。
宗四郎はずっと私が一目惚れしたのを知ってて、気持ちを知ってて…あんなに健気に好きだと伝えてくれていたんだ…。
嫌になってもおかしくないのに…。