第6章 副隊長、選別試験です
なんとか浴び終えて髪を乾かしてから副隊長室に戻る。
「君、大丈夫なん?」
「え…何がですか?いつも通りですよ。」
中に入るなりそう問われて、眉間に皺を寄せた彼が見つめてくる。
もしかして、バレた?
ならええと目線を書類に戻した彼。
気付いたようだが、大丈夫だと判断したんだろう。
少し作業をしてからオペレーションルームへ向かった。
そこで、受験者たちの体力審査を見ている。
私はまだ作業が終わっていないので、書類に目を通しながらそれを見ていた。
やばい…鎮痛剤飲んでくればよかった…頭がガンガンする。
体力審査が終わりそうなので、先に着替えてくると断ってオペレーションルームを後にした。
ロッカールームに置いてある鎮痛剤を飲んで、スーツに着替える。
次の適性審査では何があるかわからない為、私たちもスーツに着替えて準備をしておかなければならない。
スーツの上からジャージを着て第二演習場へ向かう。
向かっていると宗四郎の姿を見つけたので、駆け寄りながら声をかけた。
「凉…ほんまに君、大丈夫なんか?」
「だから、何がですか?特に不調はないですよ!」
私の態度にイラついたのか、少し目を開けて睨んでくる。
君は立っとるだけでええと言いながら歩を進める。
え、なにそれ…私、あなたの補佐を任されてるんだけど。
演習場の前で受験者たちと向き合う。
夏目隊員だ、可愛いと呟く受験者が何人かいて、頭が痛い。
これから命の危険があるというのに、何を呑気なことを言っているのか。
「僕は今回、二次試験の選考委員長を任されとる、第3部隊副隊長の保科や。それと…こちらは僕の補佐をしてくれとる、凉や。」
え、名前…。
突然副隊長が私を名前で呼んだので、受験者たちの口がぽかんと開く。
「夏目です。」
「え……あ、すまん。」
気付いていなかったようで、笑いながら謝ってくる。
締まらない…。
やっぱり噂は本当なのかと呟く受験者たち。
噂?なんのことだろう。
気になったが、受験者たちにこちらの演習場で怪獣討伐をしてもらい適性審査をする旨を伝え、私と宗四郎はオペレーションルームに戻った。