第6章 副隊長、選別試験です
レノくんに再会してから数ヶ月経ち、一次試験を通過した受験者たちの資料を確認していると、レノくんを見つけた。
「レノくん、試験受けたんだ…。」
「レノくん?誰や、それ。男やろ、なんで名前で呼んどるん?」
すぐに反応した宗四郎は私に近付いてきて私の肩を抱きながら、資料を覗き込んでくる。
幼なじみだと伝えると、ふーんと微妙な反応をした。
頬にキスを落として自身の席に戻った彼のせいで、顔が熱くなり鼓動が速くなる。
ずるい…私だっていろいろしたいのに…。
速くなった鼓動を無視するようにまた資料に目を通していく。
この人…レノくんと一緒にいた……。
日比野カフカ、32歳…?
ふと、2人が入院していた時のことを思い出す。
2人がいた病室で小型の怪獣が現れ、その後、姿を暗ました。
どうやら2人はすぐに逃げて無事だったようだが、この日比野カフカという男は足を骨折していた。
逃げられたことに少しの疑問を抱く。
レノくんが一緒だったとしてもあの体格だ、背負うことは厳しいだろう。
とある仮設が浮かんだが、そんなことはありえないと頭を振った。
その小型の怪獣にはもう一つ疑問点がある。
その後に現れた怪獣が私たちが到着する前に討伐されていたのだ。
目撃した少女は、優しい怪獣さんは倒さないで…と言っていた。
恐らく、その優しい怪獣さんとは病院に現れた小型怪獣のことだろう。
そしてその怪獣は怪獣8号と識別番号がつけられた。
「難しい顔しとるな、どしたん?」
「え?あ、いえ…なんでもありません。」
そうかと返した彼はまた書類に意識を戻す。
私もすぐに受験者たちの資料を見ていった。
二次試験は明日に迫っている、早く終わらせないと…。