第6章 副隊長、選別試験です
付き合い始めてから結構経つが、あれから一度も彼の家へ行けていない。
副隊長室で2人きりになることはよくあるが、触れ合う時間なんてない。
そう、もうすぐ選別試験が始まるのだ。
宗四郎は二次試験の選考委員長であり、私はその補佐を任された。
その為、恐ろしく忙しい。
一次試験もまだというのになんなんだ、この忙しいさは…。
昨日は怪獣討伐もあった。
「副隊長、これを…。」
私では判断出来ないものがあったので彼に渡す。
「凉〜宗四郎言うてやあ…それだけで癒される…。」
「ふっ…宗四郎、もう少し頑張って。」
ぐでーとだらしなく腕を投げ出したが、名前を呼べばすぐに書類を受け取って確認し始める。
その時、怪獣出現の警報が鳴り響く。
すぐにスーツに着替えて現場へ向かった。
昨日の怪獣討伐の現場だ…余獣が残っていたようだ。
亜白隊長が怪獣を射抜いた。
2人の怪我人がいる為、隊長の指示の元すぐに駆け寄り確認する。
1人は足が折れていて、意識もはっきりしていないようだ。
もう1人はそこまで大きな怪我はしていないようだ。
って…もしかして、レノくん?
「レノくん…だよね?」
マスクを外し顔を見せると気付いた彼は凉さん?と首を傾げた。
彼とは…幼なじみ、と言えばいいんだろうか。
実家の近くに住んでいて、よく遊んでいた。
レノくんが中学生になってから会うことが減り、私もその後隊員になって実家を出た為、全然会っていなかった。
ずいぶん、イケメンになって…宗四郎には負けるけど。
すぐに2人を病院に運び討伐に向かおうとしたが、討伐完了の報告を受けて基地に戻った。