第5章 副隊長、好きです
なんで僕が泣いとるんやろ。
泣きたいのは凉やのに…。
大事にしたいと言っておきながら、最悪な形で挿れてしまった。
彼女の身体に夢中になって入りそうになっていたことにも気付いていなかった。
やめてと言われたのに…。
泣いているのに気付かれているだろうから気にもせず涙を拭い、彼女の身体を支えて向き合い謝ってキスをする。
「明日休も。僕がついとるから…。」
大丈夫という彼女に僕がいるのが嫌ならここで休んでいて欲しいと言っても、首を縦には振らない。
「訓練は厳しそうだけど、事務仕事なら出来るから…。」
彼女はちゃんとした役職はないのだが、僕の仕事を補佐出来る権利を与えられている。
隊長がそういうことがめっぽうダメだから、僕だけじゃきついだろうと凉に権利を与えたのだ。
「わかった。なら、明日はずっと副隊長室にいてや。」
僕はずっといれへんかもしれんけどと言いながら、僕よりも少し小さい彼女の身体を抱きしめる。
耳元でうんと答えた彼女の声が心地よくてもっと喋っていて欲しいと思う。
彼女の声も顔も身体も…心も全部、僕のもんやと思っていてもいいだろうか。
彼女の口から初めて紡がれた言葉に胸が高鳴って、どうしようもなく彼女が欲しくなった。
もっと言って欲しい…あんなことした僕に強請る権利はないだろうか。
「凉、好きやっ…!君は僕のもんやと思ってええ?誰にも渡したない。結婚してや…。」
「え…?私もす、好きだし、ずっと前から宗四郎のものだけど……結婚…?え?」
「あ…すまん、間違うた。ずっと一緒にいてや?」
つい、気持ちが先走って結婚したいなんて言ってしまった。
心臓止まるかと思ったと笑う彼女をギュッと抱きしめ直した。