第5章 副隊長、好きです
10分も経たずに戻ってきた彼は、コンビニの袋を持っていた。
こんなんでごめんと言いながら、買ってきた物を袋から出して見せてくる。
「たぶんサイズは大丈夫やと思うけど…あかんかったらまた行ってくる。」
「ありがとう、これでいい。これがいい。」
あとこれも…と生理用品も差し出してきた。
たぶんこの人、相当気が利く人だ…。
渡された下着と生理用品はまた彼の元に戻って、付け方がわからないのか、私に聞きながら全てやってくれる。
「タオル、ごめん…。」
痛みはまだあるけど一応いろいろ落ち着いたので、赤く染まったタオルを握って謝った。
「ええよ。パンツ洗ってくるから、ちょっとだけ待っとって。」
優しく笑う彼にありがとうと笑顔で返す。
別にあんなにしてくれなくてもいいのに……ちょっと痛過ぎたが、正直嬉しいのだ、初めては彼なんだな…と。
一瞬だけだったけど…。
だけどその痛みが、繋がった証拠なんだと思わせてくれる。
次はちゃんと最後までして欲しいな…。
「凉、ほんまにごめん…明日、病院行こな。めっちゃ血ぃ出とったやろ。」
後ろから抱きしめられ、耳元で話す彼の声はどんより沈んでいる。
病院は行かなくて大丈夫だろう。
出血の量は減ったし、痛みも多少和らいできている。
大丈夫、それよりも…と彼の顔を見上げた。
「口でしようか?」
「っ!……いらん。それどころやないし、フェラは当分させたないねん。」
なんでさせたくないんだろう。
した時、とても良さそうにしていたと思うけど…。
そっか…と答えて隣をポンポンと叩いて座ってもらう。
座った彼の肩に頭を預けた。
「ほんまにごめん…付き合うんが嫌になったんなら、僕なんも言えへんから…そやったら、言うてや?もう、必要以上に近付いたりもせぇへんから…。」
好きって言ったのに、なんでそんなことを言うのだろう。
「次は最後までしたい。だから、痛みが治まるまで待ってて欲しい。でも、キスはして欲しいな…。」
「ありがとう…好きや、愛しとる。」
私の手を握った宗四郎の声は震えていて、目の端にポタポタと何か落ちたのが見えたが、直接確認することはせずに、ただ彼の肩で目を閉じた。